抄録
マイクロブログの普及により,ユーザは様々な情報を瞬時に取得することができるようになった.一方,マイクロブログでは流言も拡散されやすい.流言は適切な情報共有を阻害し,場合によっては深刻な問題を引き起こす恐れがある.これまで,マイクロブログ上の流言拡散に関する分析は多かったが,ある流言がどのような影響を引き起こすかについての考察はない.本論文では,東日本大震災直後の Twitter を材料とし,どのような流言が深刻な影響を与えるかを,有害性と有用性という観点からの主観評価および修辞ユニット分析により分析した.その結果,震災時の流言テキストの多くは行動を促す内容や,状況の報告,予測であること,また,情報受信者の行動に影響を与えうる表現を含む情報は,震災時に高い有用性と有害性を持つ可能性があることを明らかにした.