2020 年 27 巻 4 号 p. 719-752
並列構造解析とは等位接続詞によって結びつけられる句を同定するタスクである.並列構造は自然言語の曖昧性の主たる要因の一つであり,最高精度の構文解析器であっても誤りを生じさせる.本研究は,句のペアが並列となる場合に高いスコアを出力するようなスコア関数を定義し,解析時にはスコア関数と CKY アルゴリズムを組み合わせた構文解析によって並列構造を導出する.提案手法では並列構造解析を三つのサブタスクに分解し,それぞれのサブタスクを学習した三つのニューラルネットワークによってスコア関数を構成する.提案手法が並列構造を範囲の競合なく導出できることを保証しつつ,既存手法より高い精度で並列構造を同定できることを英語における評価実験により示す.