自然言語処理
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一般論文
文法誤り訂正における訂正度を考慮した多様な訂正文の生成
甫立 健悟金子 正弘勝又 智小町 守
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2021 年 28 巻 2 号 p. 428-449

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抄録

本稿では,文法誤り訂正における多様な訂正文の生成手法を提案する.文法的に誤りを含んだ文に対して訂正を行う際,訂正方法は複数存在することがある.しかし,既存の文法誤り訂正モデルは多様な訂正文の生成を考慮していない.また,機械翻訳タスクなどにおいて用いられている既存の多様な出力を得る手法は,文中の全トークンに対して多様性を持たせる手法となっている.そのため,既存の手法を文法誤り訂正に適応した場合,訂正が必要な箇所を考慮せず文全体を強制的に書き換えるため,文法的に誤りを含んだ文の生成を行うか,もしくは,文法的誤りの発生を防ぐために制約を弱め,結果的に多様でない文を生成する恐れがある.そこで我々は,文全体を多様化するのではなく,訂正が必要な箇所を考慮して多様化する手法として,モデルの訓練データに訂正度の情報を付与することで出力の訂正度を制御する手法と,さらに出力を多様化するための誤り箇所を考慮したビームサーチ手法を提案する.実験の結果,既存手法では文法誤り訂正において適切に多様化できないことを明らかにし,一方で,提案手法によりモデルの訂正度が制御可能となり,既存手法よりも文法誤り訂正に適した多様な出力を得ることが可能となった.

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© 2021 一般社団法人 言語処理学会
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