2021 年 28 巻 4 号 p. 1210-1246
本研究では,数値気象予報のシミュレーション結果から天気予報コメントを自動生成するタスクに取り組む. 天気予報コメントの生成タスクには,(i) 様々な物理量の数値変化を考慮する必要がある,(ii) コメントの配信時刻や対象エリアに依存した表現が使われる,(iii) 天気予報コメントにおいて情報の有用性が重要視されている,といった特徴的な課題がある.本研究では,数値気象予報のシミュレーション結果,気象観測値,コメントのメタ情報を入力として, 上記の特徴を捉えた上でテキスト化するための Data-to-Text モデルを提案する.また,天気予報コメントにおける情報の有用性の向上のために,晴天や雨などの気象情報を表す「天気ラベル」を予測する内容選択モデルを導入し,予測結果をテキスト生成時に考慮することで有用な情報を明示的に記述できるようにした. 実験では,自動評価と人手評価を行い,提案モデルはベースラインに対して情報の有用性の観点で最も優れていることを示した.