自然言語処理
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一般論文(査読有)
要約データの適切性定量化を利用したカリキュラムラーニング
狩野 竜示谷口 友紀大熊 智子
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2022 年 29 巻 1 号 p. 144-165

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抄録

教師あり要約モデルの研究においては,タイトルを本文の要約とみなし学習データとするのが一般的であるが,これらはノイズ,すなわち不適切な本文-要約ペアを多く含む.本研究では,カリキュラムラーニングを用いてこうしたノイズを含むデータから効率的に要約モデルを学習させる手法を検討する.カリキュラムラーニングは学習データを難易度やノイズの量などを表す指標に従ってソートし,段階的な学習を行うことで性能を向上させる手法であり,ノイズを含むデータの学習にも有効である.本研究の目的の 1 つは,これまで検証されてこなかったカリキュラムラーニングの要約タスクへの有効性を検証することである.翻訳タスクの先行研究では,ノイズの多いコーパスと少ないコーパスから学習されたモデルでノイズ定量化を行ったが,要約分野にそうしたコーパスは存在しない.本研究のもう 1 つの目的は,単一コーパスからノイズを定量化してカリキュラムラーニングに適用する手法を提案することである.提案モデルである Appropriateness Estimator は,本文-要約の正しいペアと,ランダムに組み合わせたペアを分類するタスクによって学習され,本文-要約ペアの適切性を計算する.本研究では3つの要約モデルで実験を行い.カリキュラムラーニング及び提案手法が要約モデルの性能を向上させることを示す.

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© 2022 一般社団法人 言語処理学会
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