2023 年 30 巻 2 号 p. 748-772
本論文では,2020 東京オリンピック参加者名簿の翻訳支援の経験を報告する.オリンピック参加者名簿の翻訳は,そのサイズと対象となる国数の点において過酷である.これを軽減するために,人名翻訳支援システム「綴 2021」を実装した.このシステムは,既訳辞書と 208 個の国別翻訳サブシステムから構成され,国別翻訳サブシステムで必要となる各国用モデルは,「袷 2019」によって作成される.最終的な翻訳名簿と「綴 2021」の翻訳結果を突き合わせたところ,「綴 2021」の翻訳結果の採用率は,氏名単位で 90.4%,名前(姓または名)単位で 94.0%であることが判明した.