対話応答生成の分野において,背景情報や対話履歴を活用して,ユーザ個人の嗜好に合わせた応答生成の実現を目的とするパーソナライゼーションが注目されている.先行研究において,応答内容の適応だけでなく,システムがユーザと類似した発話スタイルを用いることが,ユーザの好感度を高める要因になることが示唆されている.しかしながら,スタイル類似に関する評価の多くは,対話の当事者ではない第三者による客観的な評価が用いられており,ユーザ自身の知覚に基づく主観的な評価との違いが十分に検討されていない.本研究では,非タスク指向の対話設定を対象とし,英語と日本語の両言語において,主観的・客観的スタイル類似度およびユーザによる対話の好ましさに関する人手評価を付与した新たなデータセットを構築した.分析の結果,ユーザによって知覚されたスタイル類似度は対話の好ましさと高い正の相関を示した一方で,客観的なスタイル類似度との間には明確な相関が見られなかった.本研究は,パーソナライゼーションにおけるスタイル評価において,評価主体の切り分けの必要性を示す経験的知見を提供する.