自然言語処理
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自由回答アンケートにおける要求意図判定基準
大塚 裕子内山 将夫井佐原 均
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2004 年 11 巻 2 号 p. 21-66

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抄録

本研究の目的は, 様々な立場の回二答者によって書かれた自由記述アンケートの回答から回答者の要求意図を抽出することである. このため, まず, 本研究におけるアンケート調査および自由回答を処理する際の方針を明らかにし, 要求意図に着目したプロセスについて述べた. 次に, 各回答が要求意図を含むかどうかの判定基準として, 典型的な要求表現「てほしい」に言い換え可能かであるかどうかにより判定するという意図判定基準を作成した. この判定基準については, 客観性, 再現性, 有効性の三つの立場からの検証を行った. 始めに客観性について, 同一判定者による検証を行った. 作成した意図判定基準を回答テキストに適用し得られた結果の分析から, 判定基準によって要求が取り出せること, かつ, 従来よりも網羅性が高いことがわかった. また, 分析に基づいて作成されたタグ付けコーパスを対象とした機械学習による実験から, 判定基準の適用結果が客観的であることがわかった.次に, 異なる判定者による検証として, 判定基準を用いて複数の作業者による言い換え実験を行った. この言い換え可否の一致率から判定基準の再現性の高さを示した. さらに, この結果と, 判定基準を用いずに要求か否かを主観的に判断する実験の結果との比較から, 判定基準の有効性を示すことができた.

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