自然言語処理
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語の属性を利用した大語彙確定のための音声対話インタフェース
大森 久美子斎藤 博昭
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2004 年 11 巻 3 号 p. 123-147

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抄録

本稿では, 大語彙を効率良く絞り込み確定するための音声対話制御手法を提案する。データの階層構造を利用した絞り込みができない大語彙を認識対象とする従来システムでは, 認識結果が誤りの場合, 正解が提示できるまで利用者に発話を要求し, 認識, 提示確認を繰り返す. 対象が大語彙であるほど誤認識を生じる可能性が高いことから, 繰り返し回数が多くなることが予想され, 利用者のストレスは増大する. 我々は, 発話要求, 認識, 提示確認の繰り返しではなく, 絞り込みに効果のある情報を尋ねる対話により大語彙を確定する対話制御手法を考案した. 本稿では, 大語彙を絞り込むために尋ねる情報を属性と呼ぶ. 我々は, 大語彙をどの程度絞り込むことができるかという属性の有効度を, 属性そのものの確定難易度と属性確定による大語彙に対する曖昧性減少度合いの2要素を用いて定義した. 87, 944種の個人姓に対して, 文字数, 頭文字, 先頭に使用される漢字の読み仮名を属性として採用し, 絞り込み度合いを評価したところ, 有効度は属性の選択基準として有用であることを確認した. 次に, 有効度を利用した大語彙確定対話制御手法を個人姓確定に適用し実装した. 発話要求, 認識, 提示確認のみを繰り返して誤認識を修正する対話手法, 及び人間オペレータの対応と比較した結果, 提案手法は, 利用者を飽きさせることなく大語彙を絞り込み誤認識を修正できることを確認した.

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