抄録
特定分野の英語を効率的に学習するためには, その分野に特徴的な語彙を選定し, その語彙を学習するのが効果的である. しかし, 人手による語彙の選定は, コストが高く, かつ, その質は, 選定者の主観や経験に大きく依存する. そのため, 特徴的な単語を機械的に抽出することにより, 語彙の選定作業のコストを低くし, かつ, 客観的な語彙選定を助けることは重要である. このような背景の下, 本稿では, 特徴的な単語が抽出可能かという観点から, 各種統計的尺度の有効性, および, 各種尺度を統合した複合尺度の有効性を比較検討した. その結果, 主に以下のことが, 明らかになった. まず, 英語教育用に選定された単語リストとの一致という観点からは, 複合尺度の有効性が示された. また, 各種の単独尺度の中では, 補完類似度が有効であった. 更に, 各種尺度により抽出される単語は, それぞれ, 異なったレベルにおける学習者に有効であると考えられることが分かった.