2005 年 12 巻 4 号 p. 3-19
英文読解教材作成のための素材は豊富である.しかし, それらの素材を取捨選択して, 1つのコースウェアとしての教材を作成するのは, 困難である.本稿では, そのようなコースウェアとしての教材を, 学習対象とする語彙とコーパスとから自動的に作成する方法を提案する.その方法によれば, 学習対象である語彙をなるべくコンパクトに網羅するような文書集合を選択することができるので, それをコースウェアとすることにより, 読解を通した効率的な語彙の獲得ができると考える.実験では, 提案手法を, TOEIC学習用語彙とThe Daily Yomiuri新聞記事コーパスについて適用した.そして, 作成された読解教材の種々の統計量を, 無作為抽出の場合と比べることにより, 作成された教材が, コンパクトに語彙を網羅していることが確認された.更に, 作成された教材は, 実際に, 大学の英語の授業で補助教材として利用されており, 授業に役立つとの見込みを得ている.