自然言語処理
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意味と親和性のある統語構造を出力する日本語文パーザ
武本 裕宮崎 正弘
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2007 年 14 巻 1 号 p. 19-42

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抄録
英語に比べて語順が自由で省略の多い日本語は, 句構造解析には不向きとされ, 係り受け解析が一般的となっている.また, 係り受けが交差する入れ子破りが起こる表現や二つの品詞性のある語などは, 句構造解析による木構造ではうまく扱えない.さらに, 現在主流となっている文節構文論 (学校文法) に基づく構文解析では構文解析結果が意味と整合性が良くなく, 時枝文法風の構文解析の方が解析結果に則って意味がうまく説明できることが指摘されている.本論文では, 時枝によって提唱された言語過程説を発展的に継承した三浦の言語モデル (関係意味論に基づく三浦の入れ子構造) とそれらの基づく日本語文法体系 (三浦文法) による文法記述と文法規則適用条件の制御によって上記のような日本語構文解析上の問題を解決する方法を提案する.さらに, このような考えに基づき試作した日本語文パーザによって, 一対多・多対一の係り受け関係, 文中の局所的入れ子構造, 入れ子破りの表現, 主題の「は」と対照の「は」の扱い, 二つの品詞性のある語の扱いにおいて意味的に適切な統語構造が得られることを示した.
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