抄録
選択肢の選択プロセスは各選択肢の特徴を認知する段階と, それに基づいて取捨選択を行う意思決定の段階, すなわち, 「認知する」「決める」の2段階で表現することができる.既存の評判情報研究の多くは「認知する」の情報抽出に焦点を当てているのに対し, 本稿では選択行動を意思決定までを含めて包括的に捉え, 既存の方法では捉えることが困難だった要素を捉えることを試みる.本稿では「決める」段階をElimination-By-Aspects (EBA) の意思決定モデルに則って選択の過程を通しで捉える方法を述べる.EBAでは, 意思決定は, 着目している特徴 (アスペクト) を各選択肢が持っているか否かによって候補を順に排除していくことで行われるが, 本稿では取捨選択方略に基づいて選択肢が排除または残存する様子を記述することで実現する.また, ことばに明示的に表れている情報を単純に扱うだけでは不十分であり, 行間を読み取る処理が必要である.さらに, 選択または排除されるきっかけの理由を捉えることで, 選択肢の相対的な長所・短所を知る方法を示す.