自然言語処理
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要約事例を用例として模倣利用したニュース記事要約
山本 和英牧野 恵
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2008 年 15 巻 3 号 p. 115-158

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抄録

現在, 文書の要約をユーザへ提示することで支援を行う自動要約の研究が盛んに行われている.既存研究の多くは語や文に対して重要度を計算し, その重要度に基づいて要約を行うものである.しかし我々人間が要約を行うときには文法などの知識やどのように要約を行ったら良いのかという様々な経験を用いているため, 我々は人間が要約に必要だと考える語や文と相関のあるような重要度の設定は難しいと考える.さらに人間が要約を行う際は様々な文の語や文節など織り交ぜて要約を作成するため, 文圧縮や文抽出の既存研究ではこのような人間が作成する要約文は作ることができない.そこで本論文ではこれらの問題点を解決し, 人間が作成するような要約を得るため用例利用型の要約手法を提案した.この要約手法の基本的なアイデアは人間が作成した要約文 (用例) を模倣して文書を要約することである.提案手法は類似用例文の獲得, 文節の対応付け, そして文節の組合せの3つの過程から構成される.評価実験では従来法の一つを比較手法として挙げ, 自動評価と人手による評価を行った.人手の評価では要約文が読みやすいかという可読性の評価と要約の内容として適切であるかという内容適切性の評価を行った.実験結果では自動評価及び人手による評価共に従来法に比べ, 本手法の方が有効であることが確認できた.また本研究で目的としていた複数文の情報を含んだ要約文が作成されたことも確認できた.

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