自然言語処理
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用例利用型による文間接続関係の同定
山本 和英齋藤 真実
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2008 年 15 巻 3 号 p. 21-51

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抄録

文間の接続関係を同定することは談話解析や複数文書要約, 質問応答など多くの分野において重要である.本論文では連続する2文に対して文間の接続関係を同定する手法を提案する.提案手法は, 入力文から抽出した構文情報や単語情報を用いて, 大量のテキストデータの中から入力の連続2文に最も近い2文を検索し, この接続関係によって入力文の文間接続関係を推定する用例利用型 (example-based) の手法によって行う.手法は, クラスタリングによって同じ接続関係を持ちやすい単語のクラスタを生成する.この結果生成された単語クラスタを用いて単語の汎化を行い, 必ずしも同じ単語が使われていなくとも接続関係の観点から類似した用例をテキスト中から探す.最後に, この用例の接続関係をもって入力文の接続関係とする.以上の手法によって入力文の文体や語の難易度によらない汎用的な同定手法を実現することが可能となった.評価実験では人手による評価で75%の正解率が得られ, 提案手法の有効性を確認した.

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