自然言語処理
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表層表現を手がかりとした日本語名詞句の指示性と数の推定
村田 真樹黒橋 禎夫長尾 真
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1996 年 3 巻 4 号 p. 31-48

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抄録
日本語を英語に翻訳する時には, 日本語にはないが英語では必要な冠詞や数の問題に直面する. この難しい問題を解決するために, われわれは文章における名詞句の指示性と数をそれぞれ三種類に分類した. 指示性には総称名詞句, 定名詞句, 不定名詞句を設け, 数には単数, 複数, 不可算を設けた. この論文では, 名詞句の指示性と数が, その名詞句の現れる文中の言葉によりかなりの程度推定できることを示した. その推定のための規則は確信度付きのエキスパートシステムの書き換え規則に類する形で, 文法書などから得られる知識をもとに経験的に作成した. この方法は, 確信度を用いて推定するので, 指示性や数のような曖昧な問題には適した方法である. 規則を作るのに利用したテキストでの正解率は, 指示性で85.5%, 数で89.0%であった. 規則を作るのに利用していないいくつかのテキストでの正解率は平均して指示性で68.9%, 数で85.6%という結果となった. この指示性と数は冠詞の決定に利用されるのみならず, 照応処理, 談話解析にも利用されていくと考えられる.
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