抄録
日本語文書を点字に翻訳する問題をとりあげ, 分かち書きのための規則を分類, 整理して知識ベース化し, システムが判断し難い箇所のみを選択的にユーザに提示する対話型の分かち書き支援システムを提案する. このシステムでは文法情報を含む大規模な辞書の代わりに見出し語のみからなる小規模なテーブルを用いることにより, 辞書構築の手間を削減した. 従来より日本語を点字に翻訳するシステムは過去にいくつか提案され市販されているが, 処理は一括して行われ, ユーザの介入する余地はない. システムが誤って翻訳した箇所については点字翻訳ボランティアが全文を見直す必要があり, 実際には利用し難いのが現状である. ここでは分かち書きの規則を知識ベース化してアルゴリズムから独立させ, システムとユーザが協調することによって, 日本語点字翻訳のための分かち書きを対話的に行うシステムについて述べる. 本システムで情報処理関連のテキストを処理し, その有効性を確認した.