自然言語処理
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連体形イ・ナ形容詞に先行する格助詞句の係りに関するルールの抽出
菊池 浩三伊東 幸宏
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1999 年 6 巻 3 号 p. 75-99

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抄録
係り解釈を正確に行うことは, 自然言語解析における重要な課題である. 近年大量のコーパスが利用できるようになり, 統計的確率をべースに係りを決定する動きがある. 本論文ではイ・ナ形容詞を含む連体修飾の係り関係の明確化に取り組んだ. 係りを決定するために, 大量の技術文と新聞文より約4400の対象文を抽出し解析した.「名詞1+形容詞+名詞2」の構造を持つ形容詞を含む連体修飾を各語間の関係として捉え, 名詞1の係り先が形容詞か否かを調べた. その結果, 係りに関与する7つの効果的ルールを検出することができた. また, それらは以下の3パターンに分類できた.
・形容詞とは独立に前後の名詞により係りが決定できるもの.
・形容詞と前後の名詞の関係により係りが決定できるもの.
・形容詞単独の特性により係りが決まるもの.
3パターンに分類された, 7つのルールを評価文に適用した結果, 形容詞を含む連体修飾では, 約97%精度で係りを決定することができた.
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