自然言語処理
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統計的手法による換喩の解釈
内山 将夫村田 真樹馬 青内元 清貴井佐原 均
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キーワード: 比喩, 換喩, コーパス, 連想, 視点, 統計
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2000 年 7 巻 2 号 p. 91-116

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抄録

本稿では, 換喩を統計的に解釈する方法を述べた. 換喩とは, 喩える言葉 (喩詞) と喩えられる言葉 (被喩詞) との連想に基づいた比喩である. たとえば, 「漱石を読む」という換喩は, 「漱石の小説を読む」というように解釈できる. この場合, 喩詞である「漱石」と被喩詞である「 (漱石の) 小説」との間には, 「作者一作品」という連想関係が成立する. 本稿では, 以下の方針で換喩を解釈することを試みた.
(1) 「名詞A, 格助詞R, 述語V」というタイプの換喩が与えられたとき, 与えられた喩詞Aから連想される名詞群を求めるためにコーパスを利用する.
(2) 連想された名詞群のなかから, 与えられた視点 (R, V) に適合するような名詞を被喩詞として統計的に選択する.
その結果, コーパスが連想名詞の供給源として有効なことが例証され, かつ, 提案手法を用いることにより, 喩詞から連想された名詞群の中から, 換喩の視点に適合する名詞を被喩詞として選択できることが分かった. また, 提案手法による換喩解析の正解率は, 厳しい評価を適用した場合には0.47であり, 緩い評価を適用した場合には0.65であった. これらは提案手法が換喩の解析に有効であることを示している.

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