認識誤りに起因して, 音声翻訳の性能 (品質) が劣化するという問題がある. 認識結果の正解部分のみを翻訳する手法が提案されているが, 翻訳されない部分に関する情報は失われてしまう. 我々はこの問題を解決するため, 次のような手順からなる誤り訂正の手法を提案する.(1) 訂正の必要性の判断および誤り部分の特定を行う.(2) 認識結果の誤り近傍に関して音韻的に近い用例をテキストデータ中から検索し, 訂正候補の生成を行う.(3) 訂正候補の妥当性を意味と音韻の両方の観点から判断し, 最も妥当なものを選択する. 提案手法を音声翻訳システムに組み込み, 旅行会話を対象として評価した. 認識結果の単語誤り率で2.3%の減少, 翻訳率で5.4%の増加が得られ, 提案手法の有効性が示された.