自然言語処理
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語彙的連鎖に基づく要約の情報検索タスクを用いた評価
望月 源奥村 学
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2000 年 7 巻 4 号 p. 63-77

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抄録

電子化テキストの増大にともない, テキスト自動要約技術の重要性が高まっている. 近年, 情報検索システムの普及により, 検索結果提示での利用が, 要約の利用法として注目されている. 要約の利用により, ユーザは, 検索結果のテキストが検索要求に適合しているかどうかを, 素早く, 正確に判定できる. 一般に情報検索システムでは, ユーザの関心が検索要求で表わされるため, 提示される要約も, 元テキストの内容のみから作成されるものより, 検索要求を反映して作成されるものの方が良いと考えられる. 本稿では, 我々が以前提案した語彙的連鎖に基づくパッセージ抽出手法が, 情報検索システムでの利用を想定した, 検索要求を考慮した要約作成手法として利用できることを示す. 語彙的連鎖の使用により, 検索要求に関連するテキスト中のパッセージを要約として抽出できる. 我々の手法の有効性を確かめるために, 情報検索タスクに基づいた要約の評価方法を採用し, 10種類の要約作成手法による実験を行なう. 実験結果によって, 我々の手法の有効性が支持されることを示す. また, 評価実験の過程で観察された, タスクに基づく評価方法に関する問題点や留意すべき点についても分析し, 報告する.

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