自然言語処理
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対話者の社会的役割を利用した訳し分け手法
山田 節夫隅田 英一郎柏岡 秀紀
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2001 年 8 巻 1 号 p. 175-190

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抄録
音声翻訳を介した対話をより自然なものにするためには, 原言語を解析するだけでは取得困難な『言語外情報』を利用することが有効である. 例えば'『対話者の社会的役割』を使用した翻訳は対話をより自然にする.本論文では, 特にこの『対話者の社会的役割』に着目し, この役割情報を利用して, 適切な丁寧度の翻訳にする手法を提案する. 既存の変換ルールや辞書にこの役割情報に応じた修正を加えることによって訳を変える. 実際に英日翻訳における変換ルールや辞書に『対話者の社会的役割』に応じたルールやエントリーを登録し, その際に参照していない未訓練の23会話 (344発声) を使って実験をした. その結果'丁寧表現にすべき発声に対して, 再現率が65%, 適合率が86%であった. したがって'本手法は, 音声翻訳を使って自然な対話を行うためには効果的であり実現性も高い. さらに, 対話者の性別情報など他の言語外情報や英日以外の言語対に対する本手法の適用可能性についても考察する.
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