抄録
統計的クラス分類器としての決定リストは, 近年自然言語処理における様々な分野でその有効性を示している.決定リストを構成する上で最も重要な問題の一つは, ルールの信頼度の算出法である. 決定リストを用いた多くの研究では, 最尤推定法と簡単なスムージングにより信頼度を算出しているが, 理論的な根拠に欠け推定精度も高くないという問題がある. そこで本論文では, ベイズ学習法を利用してルールの信頼度を算出する手法を示す. さらに, 証拠の種類ごとに異なる事前分布を利用することで, より正確な信頼度の推定が可能になり, 決定リストの性能が向上することを示す. 本手法の有効性を確かめるために, 語義曖昧性解消の問題に決定リストを適用して実験を行なった. 英語に関してはSenseval-1のデータを用い, 日本語に関しては疑似単語を用いた. その結果, ベイズ学習による信頼度推定手法が, ルールの確率値の推定精度を高め, 決定リストの分類性能を向上させることを確認した.