抄録
自然言語の意味を理解するコンピュータの実現には, 入力された語から関連の強い語を導き出す連想システムが必要と考える. 本研究の目的はこのような連想システムの主要要素である概念ベースの構築である. 我々の開発した連想システムは電子化辞書から作られた概念ベースと, 語間の関係の深さを定量化する関連度計算アルゴリズムから構成される. 概念ベースでは語の意味を語の持つ意味の特徴を表す語 (属性) とその語に対する重要性を表す重みの集合で定義している. 本研究においては, 概念を概念ベースによって定義される語の連鎖としてモデル化している. 機械構築された最初の概念ベースは不適切な属性が多く, 重みの信頼性も低い. 本稿ではこの機械構築された概念ベースを出発点とし, 雑音属性を除去し, より適切な重みを付与するために, 属性信頼度の考えに基づく新しい精錬を提案している. さらに, 人間の感覚による評価とテストデータの関連度を用いた実験によって提案方式の有効性を示した.