1991 年 58 巻 1 号 p. 86-95
抗不整脈剤の虚血条件下での作用を検討する動物実験モデルを考案した. その上で実際に, 新しい抗不整脈剤flecainide (20μg/l) の作用をモルモット右室乳頭筋を材料として用いてガラス毛細管微小電極を使い研究した.
1) Hypoxia液を15分灌流し, normoxra液を30分灌流したのち, 再度hypoxia液を15分灌流するモデルが電気生理学的reversibilityを有していた.
2) Flecainideはhypoxia時により強くVmaxを抑制し, 正常心筋よりも虚血心筋のほうがより強い抗不整脈作用を発現することが示唆された.
3) Normoxia液中においてflecainideはfast Nachannelを抑制するが, ERP, ERP/APD 90%に影響を与えないことから, Ic群の特徴を有することが明らかとなった.
以上の事実より, flecainideは虚血性心疾患の際の心室性不整脈に有効な薬剤と期待される.