2020 年 10 巻 1 号 p. 7-16
唾液分泌を促す方法には,唾液腺マッサージのように唾液腺に刺激を与えて,唾液分泌を促すものがある.加えて近年では,アロマオイルの香り刺激による唾液分泌促進効果が報告されている.しかし,唾液腺への機械的刺激に香り刺激が加わることが唾液分泌に与える効果については,未だ明らかになっていない.本研究の目的は,若年者におけるアロマオイルの香り刺激と唾液腺マッサージの刺激による唾液分泌効果について明らかにすることである.
対象者は,本学歯科衛生学科と専攻科歯科衛生学専攻に在籍する24名の女子学生で,安静時および唾液腺マッサージやブラックペパーオイルとラベンダーオイルを用いた香り刺激を与えた状態で唾液分泌量を測定した.
安静時と比較して,アロマオイルの吸入,唾液腺マッサージ,アロマオイルの吸入と唾液腺マッサージを行った場合のいずれの条件においても,唾液分泌量は有意に増加した.特に,ブラックペパーオイルの吸入と唾液腺マッサージを併用した場合が唾液分泌量が多く,唾液分泌促進に効果的であったことが示された.
本研究の結果から,アロマオイルの香り刺激と唾液腺マッサージの刺激は,唾液分泌促進に効果的であることが示唆された.今後は,アロマオイルの活用方法やその有用性についての情報発信を積極的に行っていく必要がある.