抄録
近年,口腔ケアに関する論文が多数発表され,口腔ケアに注目が集まる中,歯科衛生士が全ての入院患者に口腔健康管理を実施出来ない現状がある.本研究の目的は,看護師の口腔ケアと口腔清掃用具に関する知識・技術,学習・実習状況に注目し,看護学生時点での口腔ケアと口腔清掃用具の用途の理解を明らかにすることである.調査対象者は,協力が得られた看護大学に通う第4学年の学生で,男性1名,女性22名の合計23名であった.無記名自記式のweb調査を行い,デジタルデータとして回収した.
本研究の結果,口腔ケアの効果として「歯周病予防」や「誤嚥性肺炎の予防」は看護学生の100.0%が知識を有しており,全身に関する効果の知識も81.8%の看護学生が有していた.また,看護学生は在学中における口腔ケアに関する学習・実習機会は少なく,臨床的な知識の不足が示唆された.さらに,「スポンジブラシ」と「歯ブラシ」は,実習での使用経験があったことから,必要性や用途の理解に繋がったと考える.その他の口腔清掃用具については,実習での使用経験は少ないが,口腔ケアには必要と回答している学生が多かった.
本研究から,看護学生の口腔ケア教育における歯科医療従事者の積極的な参加の必要性と口腔清掃用具に関する積極的な情報提供が必要であることが示唆された.