日本口腔保健学雑誌
Online ISSN : 2434-7116
Print ISSN : 2434-7108
調査研究
思春期女子生徒における口腔保健行動と齲蝕および歯周病リスク検査の調査
-歯科保健指導前後のブラッシング行動の比較-
荒井 志歩合場 千佳子関口 洋子
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2019 年 9 巻 1 号 p. 85-92

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抄録

 思春期は,小児が肉体的な成長と精神的な成長のバランスが十分にとれず,戸惑いが見られる時期であり,家族からの精神的自立,異性への関心等様々な問題と葛藤する時期でもある1).さらに,歯の組織的幼弱性,形態や生活習慣などの要因で齲蝕や歯周病に罹患しやすく2),思春期に口腔内環境が悪化する例がよくみられる.本研究の目的は,中学生や高校生を対象に口腔保健行動と齲蝕および歯周病リスク検査の現状,歯科保健指導前後でのブラッシング行動を明らかにし,さらに歯科衛生士としての介入のあり方を検討することである.

 対象は,東京都内にある女子中学校・高等学校に在籍する計13名とし,歯科保健指導前後に記名による自己記入式の質問紙調査を行った.

 調査の結果,歯肉炎の認知度では指導前は知らない者が61.5%を占めていたが,指導後は23.1%と変化が見られた.また,ブラッシング行動の変化では,「鏡などで口の中の様子をよく確認する」「いつも時間をかけて磨いている」という項目で有意差が見られた.学校は,健康教育を通じてより確実に保健行動を定着する場として重要である.中学生や高校生への効果的な歯科保健指導を行う際には,歯磨きが出来る環境の整備や歯科疾患についての情報提供の他に,歯科保健行動の動機付けができる体験型の指導も必要であると考える.

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© 2019 日本歯科大学東京短期大学
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