西田哲学会年報
Online ISSN : 2434-2270
Print ISSN : 2188-1995
表現としての哲学
グローバル哲学の新形態へ向けて
コプフ ゲレオン
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2014 年 11 巻 p. 181-155

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抄録
晩年の西田幾多郎は、多と一の弁証法を用いて歴史哲学を展開した。よく知ら れているように、彼は「多」と「一」の用語をもともとはヘルマン • コーへンが使っ ていた「Vielheit」と「Einheit」の日本語訳として使用した。それにもかかわらず、 晩年の諸著作で歴史的世界を説明するために「一と多の絶対矛盾的自己同一」お よび「一即多」という表現を造語したことは、大乗仏教の哲学における非二元論 的な洞察に基づいていたように思われる。しかしながら、第二次世界大戦後には、 そのような哲学は国家主義的として批判されるようになった。そのとき務台理作 は、西田哲学における「一即多」と田辺哲学における「種の論理」を合わせた第三ヒューマニズムを展開したり、コスモポリタニズム的な哲学の基礎を築いたり したと言える。本論文で私は、務台のプロジェクトをさらに展開し、京都学派の なかで展開されたパラダイムに基づく真の異文化的・グローバル的な哲学を構想 しようと思っている。
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© 2014 西田哲学会
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