抄録
本研究では、8泊9日の組織キャンプを対象に、指導者およびキャンパーに対してヒヤリ・ハット調査を実施した。また、指導経験のある指導者に、このキャンプのプログラムからどのような危険が予測されるかを質問した。その結果、キャンパーで1日平均0.64回、指導者で1日平均1.19回の報告があった。また、指導者・キャンパーともに女性の方がヒヤリ・ハット事例をより多く報告した。事例の報告が多い場面は、キャンパー・指導者ともに炊飯、登山、マウンテンバイク、ロングウォーク、クリエイティブ活動であった。また、指導者による予測でも、炊飯時のやけどや刃物のけが、転倒や打撲などの発生確率が高く予測された。野外活動におけるヒヤリ・ハット事例は、発生場面の把握や内容のカテゴリーでは指導者の想定内であったが、具体的な発生の状況が把握できる点に有効性があると考えられる。また、指導者、キャンパーがヒヤリ・ハット事例を指摘する活動は類似しているが、量・内容ともにキャンパーの指摘は不十分であり、指導上の課題と考えられる。