抄録
本論文は、アメリカ合衆国における野外冒険教育に関連した冒険レクリエーションおよびツーリズム活動の現状と課題についての情報提供を目的とする。合衆国の冒険教育活動には参加者数と種類の多様化の点で顕著な成長傾向があり、自然資源の利用と管理に多大な影響を与えている。自然資源管理者と活動指導者は共に、自然資源管理に関する知識、多岐にわたる特殊な活動に関する理解、参加者に関する理解を兼備することが求められている。社会的な価値や社会変動は、野外冒険教育の現状と課題に反映されている。今後も物質主義や効率主義への傾倒は続くであろうが、個々の人格的成長などを重視した、より本質的で意味のある体験が一層強調されるであろう。このような冒険活動の著しい普及によって、自然管理者の置かれている状況はさらに難しくなっている。自然資源管理者と活動指導者の両者が理解を深め、長期的な自然資源の利用・管理を検討していく必要がある。