Journal of Information Processing and Management
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2017 Volume 60 Issue 3 Pages 212-213

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Wikipedia創設者,ファクトチェック済みの新ニュースプラットフォームを立ち上げ

Wikipediaの創設者であるJimmy Wales氏は4月24日,広告収入に頼らない新しいニュースプラットフォーム「Wikitribune」を立ち上げたことを自らのTwitter投稿で発表した。Wales氏はWikitribuneのWebサイトに掲載した動画で,広告収入を前提とするインターネット上の無料ニュースやソーシャルメディアで拡散されるニュースは,PV稼ぎに走るあまりニュースの真実性を軽視しており,それが「ニュースが壊れた」原因だとしている。Wikitribuneはプロのジャーナリストが事実に基づいた記事を書き,それを読者が修正し,改善するというWikipediaのような方式を採用しており,広告は一切掲載しない。現在はジャーナリスト10人を雇うための寄付を募っている。スタートは2017年9月の予定。またWikitribuneはWales氏個人が立ち上げたもので,WikipediaやWikimedia Foundationからは独立したプロジェクトだとしている。

Google,不適切な検索候補の報告機能を追加

Googleは4月25日,同社のブログにおいて,Google検索で表示される不適切な検索候補の報告フォームを追加したことを発表した。Googleの検索スペースに文字を入力すると,検索候補が表示されるようになっているが,今回の機能追加により,不適切な検索候補が表示された場合に報告できるようになった。検索候補の右下にある「不適切な検索候補の報告」というリンクをクリックすると報告フォームが表示される。この報告機能は,強調スニペット機能(アルゴリズムが最も有用と判断した検索結果が,結果ページのトップにカード状で表示される機能)にも追加されている。ブログ記事ではまた,検索ランキング表示において,ファクトチェック済みWebサイトの表示順位を上げるようにアルゴリズムを変更したとしている。

2017年 報道の自由度ランキング発表

フランスに本部を置く「国境なき記者団」は4月26日,2017年の「報道の自由度ランキング」を発表した。日本の順位は前年と同じ(72位)だが,イタリア(52位)に抜かれたためG7では最下位になった。同ランキングがスタートした2012年に日本は22位だったが,翌2013年に53位と大幅に順位を下げている。一方,1位はノルウェー,2位はスウェーデンで,上位はヨーロッパ諸国に占められている。全体としては,報道の自由は現在,かつてない脅威にさらされていると指摘している。「報道の自由度マップ」上で「非常に悪い」ことを示す黒色になっている国・地域は180か国中21か国で,全体の62.2%の国・地域で前年よりも状況が悪化している。

bioRxiv,チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブと連携

生命科学のプレプリントサーバー「bioRxiv」を運営するコールド・スプリング・ハーバー研究所(CSHL)は4月26日,チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ(CZI)との間で,人間の健康と病気に役立つ生命科学の理解を促進させることを目的とした提携関係を結んだと発表した。CZIとCSHLは共同で,bioRxivでのプレプリント採択および公開のスピードを加速するソフトウェアを開発し,オープンソースとして公開する。CZIからは資金援助の他,技術支援などが行われる。資金援助の詳細についてCSHLの発表では明らかにされていないが,Nature誌の記事によれば,資金援助は複数年パッケージとして行われる予定で(具体的な期間は未公表)人件費や技術開発費,その他のインフラ整備に充てられるという。CZIはFacebook共同創設者のMark Zuckerberg氏と妻のPriscilla Chan氏が2015年に創設したチャリティー団体である。bioRxivは2013年に開始されたプレプリントサーバーで,現在の投稿数は1万件を超えている。

THE世界大学ランキング日本版の公開がスタート

英国の教育専門誌「Times Higher Education」(THE)を傘下に持つTES Globalは3月30日,「THE 世界大学ランキング 日本版2017」を発表した。これは国内総合パートナーであるベネッセグループの協力によるもので,世界版ランキングでは「研究力」を軸に据えているのに対し,日本版ランキングでは「教育力」を測る設計になっているのが特徴。日本版の評価の指標は,「教育リソース」「教育満足度」「教育成果」「国際性」の4分野11項目。既存の大学ランキングが主に入学時の学力を軸としているのに対して,同ランキングでは学生の学びの質や成長性に焦点を当てているのが違いだとしている。評価指標のうち,「教育リソース」では学生1人当たりの資金や教員数,教員1人当たりの論文数・被引用回数や競争的資金獲得数,「国際性」では外国人学生や外国人教員の比率などの定量的データが基になっている。一方で,「教育満足度」や「教育成果」の項目は高校教員や企業人事の評判調査の得票数に基づいている。なお,日本語版ランキングでは,1位東京大学,2位東北大学,3位京都大学となっている。

NII,オープンサイエンス基盤研究センターを新設

国立情報学研究所(NII)は4月3日,「オープンサイエンス基盤研究センター」を4月1日付で新設したと発表した。同センターは大学や研究機関におけるオープンサイエンス活動を支えるためのICT基盤の構築と運用を行う。具体的には,これまでNIIが構築してきた,「JAIRO Cloud」を含む機関リポジトリシステムを,研究データも含めた研究成果の「公開基盤」へと発展させる。また,組織や研究分野ごとのリポジトリで公開される情報を検索するための「検索基盤」や,共同研究者間での研究データ等の構造的な管理機能,公開基盤への簡便な登録機能を提供する「管理基盤」を構築する。

 
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