岡山医学会雑誌
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3-ニトロチロシン
荻野 景規
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2006 年 118 巻 3 号 p. 225-234

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抄録

種々の機序により産生された活性窒素種 (reactive nitrogen species) によるチロシン残基のニトロ化による3-ニトロチロシン (3-NT) の生成は, 蛋白質の翻訳後修飾の一つとして広く認められている.種々の炎症性疾患組織では, 一酸化窒素・二酸化窒素・ペルオキシナイトライトといった活性窒素種が異なる機序で産生され, 3-NTの産生に関与している. チロシンニトロ化蛋白質の同定や, 蛋白質分子中のチロシンニトロ化部位が決定できるようになり, 蛋白質の寿命, 蛋白質問相互作用に対する悪影響, 蛋白質機能喪失との関連づけが可能になってきた. 測定法としては, 免疫組織化学的手法, ウェスタンブロッティングによる半定量法から, ELISA, HPLC-ECD, LC-MS/MS, GC-MS/MSを用いた定量的な方法がある. 本総説では, 3-NTについて, その生成機序, 測定方法, 予防医学的応用を述べる.

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