2025 年 10 巻 1 号 p. 1-7
シリコン・ブレスト・インプラント(以下SBI)を用いた乳房再建術が,2013年に保険収載された。SBIには10年で9.7%の破損リスクがあることが報告されており,本邦での破損頻度とそのリスク因子を明らかにすることを目的とした。当院でSBI超音波検査を行った2,071例を対象とした。超音波検査で「破損なし」は全体の95%,残り5%が「破損あり」で,破損率は5年で1.1%,10年で11.8%であった。多変量解析ではSBIの挿入年数が長いこと,挿入回数が複数回であること,被膜拘縮があることが破損の独立したリスク因子としてあげられた。これらの因子がある場合に注意深く経過観察していくことが重要と考えられる。SBIで再建された乳房は増加してきており,晩期の合併症,特にSBI破損については今後さらなる研究が必要である。