2022 年 7 巻 4 号 p. 121-130
V-mammoplasty は, OPBCS Volume displacement レベル2-② の手技である。欧米では, ボリューム・下垂のある乳房のB区域病変に対する乳房部分切除時に適応される手技として実施されている。 本稿では, V-mammoplasty と, V-mammoplasty が実施できないボリュームの乳房でも適用されるよう改変を加えた V-rotation mammoplasty について紹介する。
I. V-mammoplasty : B区域の病変および病変周囲の皮膚・乳腺組織を扇形に切除する。乳房下溝線全層で切開を入れる。B区域の欠損部に, BD区域の皮膚乳腺弁を授動して欠損部を補填する。ボリューム・下垂のある乳房症例では, BD区域の皮膚乳腺弁を胸壁からほとんど剥離せずに欠損部への displacement が可能である。皮弁をまったく作成しないため, 脂肪性乳房の症例でも実施可能である。術前より, B区域の皮膚乳腺組織切除後の皮膚乳腺で作られる新しい乳房マウンドを予測し, 新乳頭乳輪位置を予定しておく。対側乳房の縮小術を加えると, より整容性の高い結果を得ることができる。
II. V-rotation mammoplasty : 下垂のない乳房またはあまりボリュームのない乳房のB区域, BA区域, AB区域病変が適応となる。切除ボリュームを, BD区域の皮膚乳腺弁に乳房下溝線より足側の皮下脂肪を付着させた皮膚乳腺脂肪弁を, ある程度胸壁から剥離して欠損部に補填する点で V-mammoplasty とは異なる。
I, II いずれの手技も, 乳輪縁から内下方に放射状にのびる切開瘢痕と, 乳房下溝線に一致した V字の創が形成される。