1975 年 17 巻 2 号 p. 178-187
われわれは, 走査型電子顕微鏡を用い, ヒト舌乳頭, および舌下粘膜の毛細管ループの鋳型標本を立体的に観察した。
糸状乳頭に分布する毛細管は, 舌背粘膜下を走る細血管が, 粘膜下組織内につくる血管網より発し, 乳頭に侵入して数枝に分岐したのち, その頂点に向って数個のループを形成し, 下降する (下行脚)。
有郭乳頭では, 粘膜下組織内の血管網よりでた数枝が, 乳頭内に入り, その表面に向ってループを形成する。このループは, 乳頭基底部に移行するに従って低くなる。また, 粘膜固有層にできた血管網より, 微細な枝が, 乳頭内のループに合している。
茸状乳頭では, 侵入した毛細管は, 放射状に分岐して, ループを形成する。
舌下粘膜では, 粘膜下組織につくられる比較的太い血管網よりでた毛細血管が, 単純なヘヤーピン型のループを形成する。また, その配列は疎で, 血管網の網目と一致している。