1977 年 19 巻 1 号 p. 135-148
ラット顎下腺の導管系を電子顕微鏡を用いて観察した。ラットではヒトやその他の哺乳動物の導管系と異なり介在部と線条部との間に顆粒管と呼ぶ領域が存在するとされている。大部分の導管系では顆粒管を介していたが, 一部の導管系では介在部が線条部に直接連続している場合があることを観察した。少数の導管系ではヒトやその他の動物と同様な構造がみられるものと考える。
介在部細胞は未分化な形態的特徴をもつために, 腺終末部細胞への補充を行うとする考えや逆に線条部細胞へ分化するとする報告もみられるが, 介在部細胞が終末細胞または線条部細胞のいずれにも移行しつつある所見像は得られなかった。
線条部細胞の管腔に面した細胞自由面は周期的にその形状を変化させている。また, その直下の細胞先端部領域における分泌顆粒は細胞のもつ周期によって細胞質中を移動することが考えられた。