1978 年 20 巻 3 号 p. 637-642
生薬成分を主体とした歯科用鎮痛剤として, 中国において古くよりある伝統処方をもとに改良された牙痛水の歯肉およびその近傍の粘膜に対する急性および亜急性毒性について調べた。
歯肉における急性毒性の討には, ラット下顎前歯部唇側歯肉に牙痛水を長時間連続的に塗布し歯肉における変化を, 肉眼的ならびに病理組織学的に調べた。牙痛水の連続投与期間は1, 3, 6時間であったが, いずれの場合にも肉眼的にまた病理組織学的に異常は認められなかった。
歯肉における亜急性毒性の検討には, ラット下顎前歯部唇側歯肉および対応する口唇粘膜に, 牙痛水を1日2回長期間 (最高75日間) 塗布することによる歯肉および口唇粘膜の肉眼的および病理組織学的変化を調べた。肉眼的には異常は認められなかったが, 病理組織学的所見において, 粘膜下出血などの組織障害性が認められた。