歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
糸球体基底膜の生化学的特性について
宮井 芳二
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1981 年 23 巻 2 号 p. 361-370

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抄録
ウシの糸球体基底膜 (GBM) を用い, 基底膜の一般的な化学組成および構造を生化学的に追求した。腎皮質から精製分離した糸球体の超音波処理により得られたGBMをpronaseで限定消化, さらにKCIで塩析を行ない, コラーゲンを抽出した。また, コラーゲンを抽出した残りの組織から, alcohol沈でん法によリムコ多糖を分離した。
GBMは, 糖を多く含み, その蛋白質はコラーゲン性であったが, OH-Lys, 3-OH-Proが多く, 1/2-Cysも少量含まれていた。またGBMムコ多糖の主成分はhepamn硫酸であり, 少量のchondroitin硫酸, dermatan硫酸, hyaluron酸も認められた。
GBMコラーゲンは, 糖を多く含み, アミノ酸組成は間質コラーゲンに類似していたが, ProとLysの水酸化率が高く, 1/2-Cysも少量含まれていた。電気泳動的には, 間質コラーゲンのβ およびα よりやや遅い移動度を示す各1本の明瞭なバンドと, α より速く移動する2本の不明瞭なバンドが認められ, これらのバンドはともにPAS陽性であった。
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