歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
クジラプロテオグリカンコアタンパクの抗原フラグメントの分離とその性質について
笠井 憲雪
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1982 年 24 巻 1 号 p. 14-23

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抄録
クジラ軟骨プロテオグリカンのビアルロニダーゼ消化により種共通抗原を得, その化学的免疫学的性質を調べた。得られた2個の抗原フラグメントのうち小さい方 (DII) はヒアルロン酸との結合能を持ち, 臭化シアン及び2-メルカプトエタノール処理により3つに分れた。そして少くとも2個のメチオニン結合と2個の分子内ジスルフィド結合を持つ事が示された。以上の事はDIIがプロテオグリカンコアタンパクのピアルロン酸-binding region由来であり, 屈曲構造を持っている事を示している。また上記の化学処理はDIIの抗原性に影響を与えなかったが, ビアルロン酸結合能を失わせた。一方大きい方のフラグメント (PII) はビアルロン酸との結合能はないが, DIIと共通抗原性を持ち, 化学分析の結果からケラタン硫酸を多く含むいわゆるPolysaccharide attachment region由来の抗原フラグメントであった。
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