1982 年 24 巻 3 号 p. 733-737
DNAを頻回接種したラットの中に, 唾液腺や涙腺に自己免疫様疾患を招来し, その発現機転にADCCの作用を想起させるもがみられた。そこで, DNA接種による末梢血リンパ球と耳下腺部リンパ節のリンパ球のADCC活性の変化をSRBCをtargetcellとして調査したところ, 両リンパ球とも, 実験群がcontrol群よりもplaque陽性率が高く, とりわけ耳下腺リンパ節のそれは顕著な陽性率を示した。この実験結果は, 1) DNA抗原接種によって, リンパ球のADCC活性が亢進すること, 2) ひいては, 唾液腺や涙腺に浸潤・増殖したリンパ球もADCC活性を強く有していること, 3) もし, 抗DNA抗体を産生すれば, 同ラットはADCCによる腺の組織傷害を起し得ることを示すものである。