歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
New Zealand Blackマウスの唾液腺炎・涙腺炎に関する免疫病理学的研究
第1報Sjögren症候群自然発症モデルNew Zealand Blackマウスの検討
金久 純也
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1984 年 26 巻 1 号 p. 152-162

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抄録

先天的に免疫異常を随伴するNZBマウスにヒトSjögren症候群に酷似した病態が自然発症するという報告がなされている。本研究では, 先人達の報告を再確認するために, 4~12月齢の雄NZBマウス25匹の主として唾液腺 (耳下腺・顎下腺・舌下腺)・涙腺 (外涙腺・ハーダー腺) を検索した。唾液腺・涙腺のうち肉眼的には外涙腺に萎縮・暗調な斑的状紋様などの変化が認められたものの, 他の腺には著変はなかった。組織学的にはリンパ球様細胞浸潤とそれに伴う腺組織破壊が認められ, その程度が最も顕著であったのは外涙腺で, ついで顎下腺に強く, 加齢的に重篤になる傾向を示したものの, その他の腺では軽度の病変が散見されたに過ぎなかった。また外涙腺や顎下腺では, リンパ球様細胞は初期には房間間隙中に腺房を押しのけるように浸潤し, マウスの月齢の進むに従って進行性に拡大し, 浸潤病巣に接する腺房細胞には種々の程度の退行性変化がみられたほか, 導管上皮反応性増殖, 節上皮島様構造物がしばしばみられ, それらの所見は, ヒトSjögren症候群の唾液腺・涙腺にみられるそれに本質的に酷似していた。

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