歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
カエル咬筋伸張で誘発される咬筋神経のニューロン活動と伸張反射
塩澤 光一三枝木 泰丈柳沢 慧二
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1987 年 29 巻 4 号 p. 397-407

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抄録

下顎張反射の閉口筋運動神経に於ける発現機序を調べるため, ウシガエル咬筋神経分枝から銀線電極を用いて遠心性放電を記録した。中枢との連絡を保った状態で咬筋を生体から単離し, Ringer液を満たした実験槽にセットした。振幅1mmのramp-and-hold伸張 (速度5mm/sec) を加振器を用いて咬筋に与えた。三叉神経上顎枝電気刺激で誘発した閉口反射時の遠心性放電様式は緊張性, 中間型, 及び相動性の3種に大別された。伸張反射は初期長 (Lo, 静止張力初発筋長) での伸張では緊張性運動神経のみに, またLo+2mmでの伸張では中間型神経にも出現し, 筋長増大に伴い両者の放電頻度は増加したが, Lo+6mmでの伸張でも相動性神経には出現しなかった。しかしながら, 閉口反射時や随意の咬筋収縮時の伸張では相動性神経にも反射が出現した。以上の知見から, カエル咬筋伸張反射は基本的には緊張性, 中間型運動神経に出現して下顎位置の調節を行うが, 閉口反射時や随意の閉口運動時にはすべての運動神経に出現して閉口運動増強作用を行うことが示唆された。

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