歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
ウシエナメリンの分離精製とモノクローナル抗体および2次元電気泳動による同定
小方 頼昌
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1987 年 29 巻 6 号 p. 692-706

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抄録

ウシ前歯永久歯胚より, 基質形成期に相当するエナメル質を採取し, Termineらの方法によりエナメリンに富む画分を抽出した。DEAE-Sephacel, Sephacry S-200, HPLCゲル濾過により, 70K, 45K, 30K, 28Kという分子量の異なる4つのエナメリン画分を分離精製することができた。そのアミノ酸組成は, プロリン, グルタミン酸グリシン, アスパラギン酸に富んでいた。さらにエナメリンに対するモノクローナル抗体を作製し, その特異性を確認した。エナメリンを2次元電気泳動後Western blotし, モノクローナル抗体と反応させると, 殆ど全ての成分が反応した。また, エナメリンとアメロジェニンを2次元電気泳動すると, 等電点が異なるために, 両者を完全に区別することができた。以上の結果から, エナメリンとアメロジェニンは, 免疫化学的にもまったく異なるタンパク質であり, 多成分系より成ることが確かめられた。

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