歯質アパタイトの結晶成長に及ぼすエナメルタンパクのin nitroにおける効果

抄録

エナメル質の石灰化過程における, エナメルタンパクの役割を知るために, 牛エナメルタンパク (アメロゲニン, エナメリン) と合成ハイドロキシアパタイトならびに牛エナメルアパタイト結晶を用いて, in vitroで石灰化実験を行った。アパタイトの結晶成長速度は, 反応溶液の化学分析ならびに, 固相を電顕で観察することにより調べた。その結果基質形成期初期に主となるタンパクほぼ結晶成長抑制効果が大きく, 基質形成期後期に主となるタンパクほどその効果が小さくなることがわかり, エナメルタンパクの脱却とエナメル質の成熟との間には相関のあることが示された。さらに, エナメルタンパクの結晶成長抑制効果には, アパタイトとの親和性が大きく関与していることが, ハイドロキシアパタイトカラムの結果より, 明らかになった。