1991 年 33 巻 2 号 p. 182-190
糖尿病における白血球の殺菌能の低下の原因を解明するために, ストレプトゾトシン糖尿病ラットを作製し, 白血球の産生するスーパーオキシド (O2-) 産生能について検討を行った。白血球はラットの腹腔マクロファージを用いた。O2-産生量の測定はチトクロームc還元法で行い, 刺激物質としてOPZ, PMAおよびA23187の3種類を用いた。糖尿病群のマクロファージO2-産生量は, 正常群と比べて有意の低下 (P<0.001) が認められた。STZ-インシュリン実験群のO2-産生量は糖尿病群と比べて, 高い傾向は認められるものの有意差は無かった。SOD活性は糖尿病群, STZ-インシュリン実験群および正常群の間で有意差は認められ無かった。O2-産生量と血糖値あるいは血中インシュリン値との間には, それぞれ有意の相関性 (P<0.01) が認められた。以上の結果から, 糖尿病における白血球の殺菌能低下の一因として白血球O2-産生能の低下が関与している可能性が示唆された。