歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
実験動物としてのオオネズミクイ, Dasyuroides byrnei,(フクロネコ科; 有袋類) の歯について
益田 忠幸
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1993 年 35 巻 1 号 p. 75-87

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抄録

有袋類の一種であるオオネズミクイDasyuroides byrneiの飼育・繁殖を実験室で行い, 口腔領域の発生生物学的研究の材料としての有用性を確かめ, 加えて本動物の歯の発生を組織学的に調べ, かつ歯種.歯数については1年から5年の飼育期間での経過を調べた。その結果, 飼育・繁殖は容易であり, 新生仔は約1ヵ月で全歯胚の形成を始め, 約3ヵ月で歯の萌出が一斉に始まる経過をたどることから, 歯の形成に関する実験動物として好適な条件を備えていることがわかった。
90日齢の哺育仔では, 全歯種I4/3C1/1P3/2M4/4=44のうち24歯が萌出, 10歯が未萌出歯, 6歯が鐘状期歯胚, 上顎の第3小臼歯と第4大臼歯はともに未だ歯堤状組織であった。また今回は, 主として上顎のみにみられる第3小臼歯と, それに先行する乳小臼歯の観察を行った。第3小臼歯はその萌出時期が不安定で, 年齢, 雌雄, 左右で相違していた。

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