抄録
骨誘導物質 (BMP) と5種類の支持体 (合成アパタイト, コラーゲンビーズ, 不溶性抽出骨基質, コラーゲン膜, ガラス線維膜) の複合体における異所性骨形成の相違について病理組織学的に検討した。支持体は, PPHAP (多孔HAP), CBd & CBw (コラーゲン・ビーズ乾, 湿), IBM (不溶性抽出骨基質), FCM (強化コラーゲン線維膜), FGM (ガラス線維膜) を使用した。これらの支持体にS300BMPを0.5~1.0mg複合させ, ラット背部皮下に埋入した。埋入1週, 2週, 3週後に固定して, 脱灰または非脱灰標本を作成した。対照には各支持体のみを埋入した。
各BMP+支持体の骨誘導様式には3つのTypeが示唆された。BMP-IBM, BMP-CBd, BMP-FCMは軟骨性骨化と膜性骨化を示した。BMP-IBM, BMP-CBdは, 軟骨の出現が早期に認められ, BMP-FCMの軟骨は遅れて出現した。BMP-FGMは, 極めて特徴的な軟骨性骨化のみを示した。一方, BMP-PPHAP, BMP-CBw は, 膜性骨化のみを示し, 支持体界面に直接骨形成が認められた。各々の複合体によって誘導される骨誘導様式は, 支持体の化学的性質や構造およびそれによって構築される微小環境に左右されることが示唆された。今回の結果から, BMP-FCM, BMP-PPHAP and BMP-CBdが異所性骨誘導を検討するに良好な支持体と考えられた