抄録
本研究では, 8週齢および70週齢Wistar系雄性ラットにおける脛骨および切歯象牙質の形成量を硬組織内時刻描記法により検索した。コンタクトマイクロラジオグラム像の画像解析の結果, 8週齢ラットと比較すると, 70週齢ラットの海綿骨は著明に減少していた。さらに, この海綿骨の減少が骨吸収の亢進によるものなのか, 骨形成の減少によるものなのか明らかにするために骨形態計測による検索を行った。8週齢ラットと比較すると70週齢ラットの脛骨近位部二次海綿骨において, 骨形成面が有意に減少していた。しかし, 骨吸収面においては両者の間に有意差は認められなかった。このことから, 70週齢ラットでは骨形成の減少によって, 海綿骨量が減少していることが示唆された。一方, 70週齢ラットは, 歯髄内に象牙粒, エナメル質および象牙質の異形成が認められたものの, 1日当たりの象牙質形成量は, 両者間で有意差は認められなかった。