歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
Effects of food consistency on chewing pattern in freely moving rabbits
Yang MengToshihide SatoYoshiaki Yamada
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1996 年 38 巻 1 号 p. 49-56

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抄録

食物の固さが咀嚼パターンに与える影響を解明するために, 二種類の異なった性状の食物咀嚼時における, 咀嚼筋 (咬筋, 顎二腹筋, 顎舌骨筋) 筋活動と下顎運動軌跡を無拘束の家ウサギより記録した。固い食物では, 両側咬筋に活動時間の増加が見られたが, 顎二腹筋と顎舌骨筋では活動時間に有意差は見られなかった。しかし, これらの筋活動のタイミングは, 食物によって異なった。特に, 咬筋活動の終了時期と顎舌骨筋の活動開始時期は様々であった。両側の咬筋と顎舌骨筋活動は, 明白に食物の性状に影響された。咀嚼周期時間とfast closing (FC相) 時間は, 食物間で相違が見られなかったが, 固い食物 (米) の咀嚼時のslowclosing (SC相) 時間は, 柔らかい食物 (パン) の咀嚼時のものより増加していた。これらの結果から, 食物の固さは, 閉口筋では筋活動量と活動時間の両方に大きく影響するが, 顎二腹筋ではどちらにも影響しないと言える。顎舌骨筋の場合筋活動量だけが食品のテクスチャーに影響された。このことは顎舌骨筋の開口筋としての役割に加え, 舌の制御に関与していることを示唆している。

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© Japanese Association for Oral Biology
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